プロフィール
現在の私、そして時計への想い
42歳を迎えた今、私は一つの岐路に立っています。
これまで15年間、「誰もが知っているけれど、誰もが選ばないブランド」を愛してきました。ジャガールクルト、ブランパン、ユリスナルダン。これらの名門が持つ技術力と歴史に魅了され、独自の審美眼を育ててきたつもりでした。
しかし最近、高校生の息子に言われた何気ない一言が、私の価値観に小さな波紋を投げかけています。「お父さんの時計、友達が全然知らないよ」──その瞬間、私は自分が築いてきた「王道を避ける美学」について、改めて考えるようになったのです。
Takaと申します。東京近郊で暮らす、ごく普通のサラリーマンです。大手電機メーカーで設計エンジニアとして働き、妻と二人の子供と平凡ながらも充実した日々を送っています。そんな私が、なぜ時計ブログを始めることになったのか。その物語を、少しお聞かせください。
時計が教えてくれた、美の多様性
運命を変えた一本の出会い
私の時計人生を決定づけたのは、29歳の結婚記念日に購入したブライトリング・ナビタイマーでした。
それまでの私は、時計に対して極めて実用的な考えを持っていました。大学時代の就活用セイコー、新社会人として購入したシチズンのエコドライブ。どちらも素晴らしい時計でしたが、私にとって時計は「正確に時を刻む道具」以上の意味を持っていませんでした。
しかし、偶然立ち寄った時計店でナビタイマーと出会った瞬間、私の世界観は一変しました。航空計算尺が組み込まれた複雑な文字盤、その機能美に込められた設計思想。エンジニアである私の心は、完全に奪われました。
妻が「せっかくの記念日だから、本当に気に入ったものを」と背中を押してくれたその日から、私の真の時計人生が始まったのです。
独自の価値観の形成
ナビタイマーとの出会いは、私に重要な気づきをもたらしました。それは「本当に価値あるものは、必ずしも多くの人に知られている必要はない」ということでした。
この経験を機に、私は意識的に「一般的でない選択」をするようになりました。33歳でのジャガールクルト・レベルソ、36歳でのブランパン・フィフティファゾムス、そして38歳でのユリスナルダン・マリーンクロノメーター。
それぞれの購入は、慎重な検討と深い愛情に基づいたものでした。技術的革新性、歴史的意義、そして何より、「知る人ぞ知る」という特別感。これらの要素が、私なりの時計選びの基準となっていきました。
時計仲間からは「Takaさんは本当に渋い選択をしますね」と言われることが多くなり、それが私のアイデンティティの一部となっていました。ロレックスやオメガといった王道ブランドを意図的に避け、自分だけの時計観を築いていることに、確かな誇りを感じていたのです。
価値観の揺らぎと新たな発見
「王道」の意味を問い直す
しかし、40代に入った現在、私の心境には微妙な変化が生まれています。
息子の何気ない一言をきっかけに、私は改めてロレックスについて調べるようになりました。そして気づいたのです。ロレックスが多くの人に愛される理由は、決して「有名だから」ではない。卓越した技術力、一貫した品質管理、そして時計そのものが持つ真の魅力があるからこそ、長年にわたって選ばれ続けているのだと。
「ロレックスを買ったら、自分の美学に負けたことになるのだろうか」「でも、本当に欲しいという気持ちは偽りではない」──このような葛藤を抱えながら、私は自分自身と向き合うようになりました。
そして、大切なことに気づいたのです。時計の価値は、希少性や独自性だけで決まるものではない。多くの人に愛される理由があるからこそ王道となり、そこにもまた深い魅力があるのだということを。
視野の拡張がもたらした気づき
この経験を通じて、私は時計の世界をより広い視野で捉えるようになりました。「王道を避ける美学」を否定するのではなく、それを大切にしながらも、もっと柔軟で包括的な時計観を育てていきたいと考えるようになったのです。
家族からも「普通にわかりやすいやつも一本あってもいいんじゃない?」という声をかけられることが増えました。職場の同僚との会話でも、時計の話題になった時に共通の話題を持てる喜びの大切さを実感するようになりました。
時計は個人的な趣味の対象であると同時に、人と人をつなぐコミュニケーションツールでもある。この発見が、私のブログ開設への直接的なきっかけとなったのです。
ブログに込めた想いと読者への約束
なぜ今、情報を発信するのか
私がこのブログを始めた理由は、これまでの個人的な体験と学びを、同じように時計を愛する人々と共有したいという強い想いからです。
特に、私のような一般的なサラリーマンの視点での時計選びや楽しみ方は、多くの方にとって参考になるのではないかと考えています。業界関係者や専門家の情報は豊富にありますが、等身大の愛好家による実体験に基づいた情報は、意外に少ないのが現状です。
また、私自身が経験した価値観の変化も、同じような立場にある読者の方々には共感していただけると思います。時計に対する考え方は、年齢や環境の変化とともに自然に変わっていくもの。その変化を恥じることなく、むしろ成長の証として受け入れることの大切さを伝えたいのです。
一般愛好家だからこそ語れること
私は時計業界の人間ではありません。販売のプロでもなければ、メーカーの関係者でもありません。ただの42歳のサラリーマンであり、家計と相談しながら時計を楽しんでいる一般的な愛好家です。
だからこそ伝えられることがあります。
限られた予算の中での真剣な選択、購入後の満足と時折感じる後悔、家族との関係を保ちながら趣味を続けることの難しさと喜び。そして、実際の生活の中で時計をどのように位置づけ、活用しているかという現実的な視点。
これらは、同じような立場の方にとって、きっと価値ある情報になると信じています。
読者の皆様と築きたい関係
このブログを通じて、私が最も大切にしたいのは、読者の皆様との誠実な対話です。
私の所有する12本の時計について、購入に至った経緯から長期使用後の率直な評価まで、包み隠さずお伝えしていく予定です。時には批判的な視点も交えながら、リアルな体験談をお届けします。
また、現在進行形で悩んでいる「ロレックス問題」についても、正直にお話ししていきたいと思います。これまでの美学を貫くのか、それとも素直に王道の魅力を受け入れるのか。この決断の過程を読者の皆様と共有し、ご意見をいただければと考えています。
私の知識や経験には限界があり、時には間違いを犯すこともあるでしょう。しかし、そんな等身大の姿こそが、このブログの価値だと考えています。完璧な専門家ではなく、皆様と同じように時計を愛し、悩み、迷いながら歩み続ける一人の愛好家として、率直な体験をお伝えしていきたいと思います。
時計愛好家としての未来への展望
終わりなき学びの旅
時計の世界に終わりはありません。技術の進歩、新しいブランドの台頭、市場の変化、そして何より、自分自身の価値観や好みの変化。常に新しい発見と学びの機会に満ちています。
現在の私は、これまで築いてきた「王道を避ける美学」を大切にしながらも、より開かれた心で時計の世界と向き合っていきたいと考えています。独自性を追求することの価値を認めつつ、多くの人に愛される時計の魅力も素直に受け入れる。そんなバランスの取れた時計愛好家でありたいと願っています。
読者の皆様と共に歩む道
このブログが、時計を愛するすべての人にとって、そして時計の世界に関心を持ち始めた人にとって、少しでも有益な場所となることを心から願っています。
私一人の体験や知識には限りがありますが、読者の皆様からのコメントや体験談を通じて、より豊かで多様な時計文化を共に築いていければと思います。時計という共通の趣味を通じて、素晴らしい出会いと学びの機会を皆様と分かち合えることを、今から楽しみにしています。
最後まで長いプロフィールをお読みいただき、誠にありがとうございました。これからも末永くお付き合いいただければ幸いです。時計の魅力を語り合い、共に学び続けていきましょう。
どうぞよろしくお願いいたします。
Taka